2024.11.25NEW
設計スタッフの雨宮です。
すでに他の方の記事にも出ていますが、今年は7年ぶりの海外研修旅行がありました。行き先はイギリスとスペインに分かれていまして、私はイギリス・ロンドンチームでした。私にとっては入社して初めての海外研修旅行で、しかも人生初の海外旅行ということで不安もありましたがとてもいい経験ができました。
建築的な目線での感想は社内のレポートで書くことになっているのでブログでは違う目線で振り返ってみたいと思います。
街並みや風景、マナーとか旅行する中で日本との違いを感じながら色々と気付きはあったのですが、その中でも街の中における文字・色彩計画といったサインの違いが印象に強く残っています。簡潔に述べてしまうと、デザインに対する意識が街全体に浸透していると感じました。
言語が違うので文字から受ける印象が違ってくるのは当然なのですが、英語の場合はアルファベットそれ自体でデザインが成り立っている印象を受けました。言い換えればカリグラフィーの重要度が大きいなと感じました。
例えば、街の至る所にあるロンドンの地下鉄のサインは、「ジョンストン・サンズ」というフォントと呼ばれていて、地下鉄の専用文字として1916年に開発されたらしく、開発したエドワード・ジョンストンはカリグラフィーを学んでいたためよく見るとこのフォントにも手で書いたような抑揚が残されています。ヘルベチカのようなゴシック体と比べると人間味のある文字で親近感を感じました。100年経った今では市内の広告や印刷物、web上でも使われるようになっているらしくロンドン全体のサインに統一感を感じるのはこのフォントによるところが大きいんだと思いました。日本では流行や個人の趣味によってフォントが使い分けられることが多いと思いますが、街づくりという視点から見ると住民たちで共通したデザインコードを持つことはその街のアイデンティティを作る上では重要だなと思いました。
地下鉄「London Underground」の標識は街の至るところにある
また、ロンドンを象徴する「ルートマスター」と呼ばれる2階建ての赤いバスや黒いタクシー、赤い電話ボックスなど外国人の私たちでもイメージが湧くほど市内の色彩計画も徹底されていてインフラ自体が街を表すサインの役目を果たしているなと感じました。
2階建てバス「ルートマスター」は赤、タクシーは黒、電話ボックスは赤で統一されている
他にも、美術館や博物館のマークがイニシャルだけで表現されていることが多かったのも印象的でした。日本ではロゴマークで表現されることが多いと思いますがむしろイギリスではロゴがあまりなかった印象です。例えば、ヴィクトリア&アルバート博物館は「V&A」、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは「RA」、オックスフォードにあるアシュモレアン博物館に至っては「A」だけで表記されていて、アルファベットがロゴの代わりになっているのは新鮮に感じました。
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはイニシャルの「RA」がロゴの代わりになっている
アシュモレアン博物館は「A」がロゴの代わりなっている
文化や地勢の違いがサインにここまで現れるのは実際に行ってみて気付かされ、参考になることが多かったです。改めて視野を広げるためには海外に行ってみることが一番だなと感じ、他の国も行ってみたいと思う研修旅行でした。
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