2024.07.29NEW
最近、霧ヶ峰でイベントがあり参加することにしたので、一日前に行って藤森輝信さんの「神長官守矢資料館」を見てきました。
浜松で藤森さんと言えば「秋野不矩美術館」ですが、秋野不矩さんは「神長官守矢資料館」を見て設計は是非藤森さんにお願いしたいとリクエストしたそうです。
「神長官守矢資料館」は藤森さんのデビュー作です。
藤森さんの作品の主なものはほぼほぼ見てきましたが「神長官守矢資料館」はまだでした。
神長官守矢資料館」は代々諏訪神社上社の神長官を務めてきた守矢氏の敷地の中に立っています。写真で見て大きくはないと思っていましたが、資料館というにはこぢんまりとした建物です。一見木造のように見えますがRC造です。RCの上に板材を貼ったり、藁を切って入れた色モルタルを塗ったりしています。
藤森さんに依ると「守矢家」の長い歴史を表現するために「周辺環境を崩さないこと。日本の神社にも民家にも、もちろん外国の民家にも関連しない」デザインを目指したということですが、弥生時代の手作りのようなイメージです。そしてこのデザインはその後の藤森建築の基となり、「秋野不矩美術館」に繋がっていることを感じます。
中に入るとロビー兼展示室です。諏訪神社上社において、御柱祭と並んで重要な祭礼である「御頭祭」の復元展示を行っています。実際には本物の鹿をお供えしたそうですが展示は鹿と猪の頭の剥製が使われています。ウサギの串刺しなどもあってちょっと不気味です。奥にもう一部屋展示室があり、武田信玄に関係する古文書や出土品が展示されています。
展示室全体に壁、天井共に外壁と同じ藁入りの色モルタルが塗られていて、穴倉という感じです。
この建物の近くに藤森さん設計の茶室が三つあります。
高過庵、低過庵、空飛ぶ茶室です。
地元の人たちとのワークショップで作ったとのことですが、少なくとも高過庵と空飛ぶ茶室は建築物ではなく、通常は中に入ることはできません。限りなく遊びであり実験的ですがとても個性的で魅力的な茶室です。この茶室のシリーズで秋野不矩美術館にも「望矩楼(ぼうくろう)」という茶室を作りました。
資料館では私の前後で10人ほどの人が来館していて、みんな藤森建築を見に来たのかと思ったら茶室まで見に行く人は居なくてそうではなかったようです。せっかくなので茶室も見てほしいですが中は見られないのでガイドブックには載っていないようです。
時間が余ったので、伊藤豊雄さん設計の諏訪湖博物館に30数年ぶりに寄って見ました。よく見ると傷みが見られましたが今だに優雅な曲線の屋根は健在でした。中は外観がそのまま空間に表れていて板張りの天井は船底のようです。よく見ると内装はかなり傷んでおり、公共の建物にありがちな箱は作ったがメンテがうまくできていない感じでした。
建物の裏を見ると裏感がすごくて違う建物のようです。
次の日は快晴の中、霧ヶ峰を堪能して有意義な小旅行となりました。
谷野守右
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