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記憶の中の建築

2022.11.07NEW

こんにちは。

設計スタッフの浅井です。

 

「1番感動した建築は何ですか?」

「感銘を受けた建築はありますか?」

 

建築の業界にいると、よく聞かれる質問のひとつです。

 

私も、学生の頃の友達同時での会話や就活の面接、様々なタイミングでこの質問をされてきました。つい最近も先輩との会話の中でこの話題になったのですが、いざ答えようとすると1番を決めるのはとても難しく悩んでしまいます。

 

改めて自分の中で、これまで訪れた建築の記憶を蘇らせながらこの質問の答えを考えてみました。考える中で、思い浮かんだ建築が、東京都の品川にあった原美術館という私立美術館です。

 

IMG_2282.JPG

 ↑原美術館の外観

 

原美術館は老朽化やバリアフリーの視点などから2021年に閉館してしまい、すでに取り壊されてしまっているため、もう再訪することは叶いません。

美術館として利用される以前は個人邸として渡辺仁さん設計で1938年に建てられました。終戦後には将校の宿舎として利用されていたそうで、1979年にようやく私邸美術館として開館しました。

 

建物には、格子状のガラス窓や鉄格子、白くて平面的な窓が特徴的なモダニズム建築で、周囲を窓に囲われたサンルームや庭に面して配置された細い列柱など細部まで行き届いた緻密な設計がとても印象に残っています。

 

現代でよく見るホワイトキューブの美術館とは全く異なり、その場所ならではのサイトスペシフィックな展示がなされます。

建物と展示作品が呼応し合うような構成は本当に素敵です...!

 

IMG_2262.JPG

 ↑ガラスの格子窓

 

IMG_2220.JPGのサムネイル画像

 ↑内部の展示風景

 

新設された美術館も良いのですが、様々な用途変更やあらゆる時代を乗り越えてきた背景を持つ原美術館は、他に変え難い建築としての良さがある気がしています。

取り壊されてしまったのが本当に惜しいですが、写真を見返しながら、空想の中で原美術館を再訪したいと思います。

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