2021.06.14NEW
「人生100年時代」と提唱され、生き方についての話題がよく聞かれる様になりました。
人生に欠かせない建築も政策の一環であり、今年度に入り「公共建築の長寿命化」が本格的に
動き出しています。
建物の寿命とは?長寿命化とは?との問いになかなか明確な答えができないのですが、整理
してみるとこんな感じです。
A機能的な寿命→B経済的な寿命→C物理的な寿命
Aが一番短く、一般的にはBの法定耐用年数を過ぎた頃、建替えが行われています。
これをCになるべく近づけるというのが「長寿命化」というわけです。
ようやく本腰入れて取り組もうかと8年前に買った本を出してきました。
10年前、当時「リノベーション」という潮流の頃、浜松市の「SALAビル」で青木茂氏による
耐震補強を兼ねた大規模改修が行われました。黒川紀章氏が設計したビルをリボンの如く鉄骨
フレームで包み込むといった斬新的なアイデアはそれまでの耐震補強とまるで違い衝撃を受け
ました。
その頃、青木氏が唱えていた「リファイニング」(登録商標されていてなかなか浸透してきま
せんでした)こそ、建築の長寿命化です。
Bの寿命がきた建築を躯体の健全さを確認し再生させる、建設コストを抑え、解体しないから
廃材も少なく、LCCも減り、まさにSDGsに向かっています。近年静岡県では県有施設の使用
目標を80年としました。
弊社では今までも長寿命化の提案はしてきたものの実現には至っていません。今年度は市内全小
中学校の長寿命化調査をすることになりました。同時に大型ホテルの長寿命化計画も始まってい
ます。
自分の設計した建物の100年後は見られませんが、長寿命化を手掛けることでその建物の築80年
の姿を見られるかと思うとなんだかロマンを感じます。
O-TE
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