2020.12.07NEW
設計スタッフの内藤です。12月になり冬の冷たい空気を感じるようになった今日この頃、
ふと思い出した建築についてお話しします。
2018年の12月、大学のゼミ合宿で瀬戸内の島々をめぐり、建築家・西沢立衛氏が設計した豊島美術館を訪れました。
豊島は瀬戸内海に浮かぶ島の一つで、海山の環境に恵まれ、棚田の風景が美しい自然豊かな場所です。
山を囲むように設けられた遊歩道を歩いて行き、海の景色を眺めながら、木々のアプローチに誘導されながら、トンネルのような入り口へと向かいます。中に入ると、シェル構造で柱が1本もなく、包み込まれるような空間が広がっており、上部の開口部から取り込まれた、自然の光、風、音を五感で鮮明に感じます。人々は歩いたり、座ったり、寝転がってみたり、自由に過ごします。内部には内藤礼氏の作品が展示されていて、水の粒が生まれて、散らばって、集まって、吸い込まれて、水が生きているみたいに動きます。床に座りコンクリートの冷んやりとした感触を得ながら過ごしていると、自分も建築とアートの一部になったように感じました。建築、アート、自然が一体となり、訪れた全ての人々に感動を与え、生命について考えるきっかけを与えてくれる空間でした。初めて人の心を動かす建築を体感し、五感で感じた光、風、音、空気感は今でも鮮明に覚えています。
また、施工方法が独特で盛り土の型枠を用いる方法を用いており、コンクリート打設後に中の土を掻き出していき空間が出来上がります。YouTubeにも施工の動画がアップされているのでぜひ見てみて下さい。
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