2018.02.05NEW
2月3日節分は旧暦でいう一年の締めくくり、今年はちょうど土曜日ということもあり、私たちのビッグイベントである事務所の引越はこの日に決めました。
とは言うものの凡そ半世紀の荷物はそう簡単に片付くものではなく、断捨離とは上手い表現だなと思いながら最後は目をつぶりながらコンテナへゴミを運んでその日を迎えました。
当日は天候にも恵まれ爽やかな引越日和となりました。引越屋さんの精鋭10名ほどが呼吸の合った段取りでスムーズに作業を進めていただき、普段の業務では立ち会うことのない唯一のイベントである引越作業に改めて感心してしまいました。
その後、皆で引越蕎麦もいただき、無事予定通り夕刻にはすべての荷物を運び入れ、最後に豆まきをして来週からの新たなスタートに期待で胸躍りながら帰宅するのをイメージしていたのは私だけで、もうみんなヘトヘトで帰っていきました。
次の日、通勤方法も変わりみんな元気で出社できるかなと不安も募りつつ、空っぽの旧事務所が気になり足が向かってしまいます。
この建物は私も28年間お世話になり、人生の大半の時間をここですごしたなと思うと何とも言えない感情が湧いてきます。スクラップ&ビルドの否定が叫ばれる前から私は自分の仕事の中で一番嫌な時間は解体工事でした。お施主さんの希望を叶えるために打ち合わせを重ね建築を進めて行く訳ですが、この解体工事だけは建物の歴史それを取り巻くすべての思い出を終わらせてしまう様で切ない気持ちになります。
45年前に創業者らを中心に設計されたこの建物は何となくサボォア邸を彷彿させる白い壁に横長の窓、時代を物語る大仏タイル貼の壁といった特徴があります。この建物の行く末をしっかり考えていきたいと思います。
大手寛
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