2015.10.05NEW
そばつゆは単独で味わうものではない。あくまでもそばが主人公である。
一つの例として、藪系、永坂・更科系、蓮玉庵系に分けてそばをみると、しっかりとした特色がある。
コクがあってからみつくからいそばつゆを特色とする藪系では、一番粉、二番粉、三番粉が一緒になった
「挽きぐるみ」の粉を使っており、かなり色が黒い。つなぎとしては神田が一割の小麦粉と卵、並木と
池の端は山芋だけでつないでおり、そば独自に強い個性がある。あくの強いそばにはやはり
負けないような汁が合っている。
永坂・更科では、御前そば(さらしなそば)が売り物でそのために甘汁とから汁の二つを御前そばに
つけている。甘汁はもちろんから汁も、とろりとして甘く、少し茹でて時間の経つそばにまつわり
押し包んでいる。
又、蓮玉庵系では小麦粉つなぎのそばを得意とし、季節の変わりそばに工夫があるから、そば自体の
静かなたたずまいを打ち消さないでそばの中に浸みこむそばつゆが適しているようです。
そばつゆの味は、そば湯を注いで初めて分かるという。今までそばに対してそれぞれの役割を
果たしたそばつゆが吸い物として初めて賞味されるのである。ことに良いだし汁をとっていると
香りとうま味がここでははっきりと出てきて有終の美を飾る事ができ、そばの雅美はここに尽きる
とさえ言われます。
村田
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