2015.06.08NEW
関東がうまに系統の味を喜ぶのに対し、関西料理の材料の味を生かす調理法は
そばつゆの場合にも影響を残している。
その第一は昆布を併用すること。次が『かけそば』のつゆに淡口醤油を使う点である。
それに『かけつゆ』については醤油もみりんも少し控え目で種ものの本来の味を
生かそうとする点である。もともと鰹節と昆布の併用は関西に始まったもので、最近では
鰹節のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の相乗効果が立証されて、関東のそば店でも
昆布を使う店が増えてきた。
上方料理が東京へ進出してくる様になり昆布と淡口醤油の良さが分かり、用い方も
知られるようになってきた。
昆布のグルタミン酸は沸騰させておいて出すのではなく、ぬるま湯から入れて沸騰直前に
引き上げるべきである。
長時間煮て色が濃い黄色になったものは味がくどくていただけない。
昔、江戸から上方へ来た職人は昆布の用い方を知らず、昆布のクセを出してしまって、
不評を買ったもので、昆布は用い方次第で良くも悪くもなる。また、淡口醤油は色はうすいが
塩気・うまみ共に充分にあるので、材料の味を引き立てるように控え目に使わなくてはいけない。
この様に関西のそばつゆは甘味、辛味が多少控え目であるため、関東から転勤等で来た方が
初めのうちは『水っぽい』と言われるが、いつの間にか関西の味に馴れてしまわれる。これは
東北地方より東京の味がやや薄いように、寒暖や労働条件などによって、徐々に嗜好に影響が
出てくるのではないでしょうか。
村田
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