2015.05.25NEW
谷野です
先月、リニア中央新幹線の実験線で列車としては有人走行時速600㎞の世界最速を記録したというニュースがあった。実際の運行は時速400㎞程度の走行で、東京-名古屋間を1時間を切る40分程度で走るようだ。日本の誇る世界最先端の技術だ。今年夏にも工事が着工され2027年の完成を目指している。思ったより早く12年後だからたぶん乗る機会が有ると思う。こんな明るいニュースの中でちょっと気になるニュースがローカルで流れていた。
「リニア新幹線の工事で大井川の水量が減る」というものだ。それまでリニア新幹線のルートは山梨県側で地下深いところをトンネルで進むものと思っていたから、このニュースは「?」だった。そこでネットでルートとか、この工事の問題とかを調べてみた。そしたらびっくり!!。静岡県の一部もルートの中に入っていることが分かった。それも、一度地上に出るらしいのだ。
写真は昨年、南アルプスの北岳と間ノ岳(アイノダケ)に登った時に間ノ岳から南の方向を撮った写真だ。静岡県に生まれ育った人なら容易に静岡県の形を思い浮かべることが出来ると思う。真ん中より少し左側で細く長く北に突き出した部分がある。この部分が南アルプス(正式名称は「赤石山脈」)の静岡県側の部分で、その一番北の先端が間ノ岳だ。と言うことは写真は静岡県の最北端に立って静岡県側を撮った写真と言うことになる。
間ノ岳は少し山になれた人であれば山梨県側からなら浜松から一泊で行ってくることが出来る。しかし、静岡県側から登ろうとすると最短でも片道3日、往復6日以上掛かってしまう。アクセスが悪いからだ。
写真で中央に見えるのが塩見岳で間ノ岳から直線で南に約9㎞、塩見岳の左側に見えるのが悪沢岳を中心とした荒川三山、リニア新幹線はその間を通り一度地上に出るようだ。したがってそこより北側の大井川の水は線路で堰き止められてしまい、大井川の水が減ってしまうということになるようだ。さてその水はどこに行くのか?それは今回の話題とずれてしまうので横に置いておいて。
そこは塩見岳の登山口ではあるが、一般車両はずっと南の畑薙ダムで通行止めとなっていて、山小屋に泊まる人だけが山小屋のバスで行くことが出来るが、年間でも訪れる人はかなり少ない。そんな不便な静岡県の南アルプスだからこそほとんど手付かずのまま大自然が残っている。そんなところに工事のためダンプが毎日何十台(いや何百台か)と数年もの間通ると思うとぞっとする。JRは自然に影響は少ないと言っているようだがとても信じられない。
私は決して反対派ではないが、もう少し深くするとかもう少し北にして地上に出ないようにするとか配慮は出来なかったのだろうかと思ってしまう。もしかしてこの辺で一度地上に出ないと工事が困難なのかもしれない。リニア新幹線のルート図を見ながらそんなことを思ってしまった。
今年も南アルプスのどこかに登ってこの大自然を満喫してみたいと思っている。次回はそんな報告でも出来ると良いなと思う。
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