2015.01.26NEW
関東のそばつゆは濃くてからいと言われる。たしかに色が濃くからいそばつゆでないとそばは食べられない
というそば好きな東京の人間が多いのも確かな様である。
もともと江戸前の料理には、早くから長崎料理風の砂糖が加味されていたようです。諸大名への土産料理
には、この砂糖と醤油、みりんをふんだんに用いた"うまに系"の煮物、寄せ物が多く、江戸の味覚の底には
この"うまに系"の濃厚な味への好みがあるといってもよいのではないか。東京のそばつゆがからく濃厚な
味を持っているのは、この好みの傾向に負う面もあると思われる。
そして又、"そばは流し込むものだ"という江戸っ子流の味わい方からいくと、まずそばの純粋なかおりと味、
そしてその後に汁がさっと絡まっただけのそばが流し込まれて、やっと食べた気がするのであって、
そのためには淡い汁では心もとないという事になる。
又、材料面からみても、汁のほとんどを鰹節に頼るのが関東料理で、そばつゆでも昆布はほとんど使わず
鰹節の他、鯖、宗田鰹、鯵などの雑節、それに濃口しょうゆが関東の味である。
いまでも江戸っ子流のそばつゆを伝えているのは、神田、浅草、上野池の端にそれぞれの店を持つ"藪系"
の店であろう。この辺の客は土地柄からいっても生粋(最近は?)の江戸っ子である。
そこへいくと「永坂・更科」など更科系は、大名邸への出入りが多かったので山の手風のつゆを代表して
いる様である。
村田
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