2014.09.22NEW
そば切りは現在ではほとんどが機械でなされていて、手打ちそばの場合は看板にも「手打ち」と
ことわる位である。それでも食味の点からいくと、機械打ちは手打ちにかなわないとされてきた。
それではどの点が違うのかというと、手打ちの場合は「鉢」「延し」「包丁」という順を辿って、
粉と水がまぜられ引延ばされ、包丁で切られるのだが、いずれの場合も人間の力で徐々に
行われる。延ばしていく時に、ごく細かな布の裂目の様なものがそばの面にできて、茹でると
その裂目に釜の湯がしみて、そばのでんぷんが簡単にデキストリンに変化する。このデキストリンは
かむと糖化するので、そばのほのかな甘みが味わえ、又消化もよい。適当な堅さだからだいたい
1分から2分の短時間で茹だるのだが、同じ太さのそばは機械打ちだと倍から3倍も時間がかかって
この間にそばの香りも風味も失われスパゲッティに近いものになってしまう。又、機械を使うと、
そばの表面が圧力ローラーによってきっちりと押されて、つるつるに堅くなっているから、そばつゆが
1本1本にしみない。さらに機械打ちでは圧力で延ばして機械力で切るので打粉は必要がなく、
打ってもそばに吸い込まれてしまうので茹でている時に湯に溶け込む分のそば粉がないから、
そば湯が出来ないといってよい。
この様に、手打ちと機械打ちでは「延し」の圧力の違いでそばの味に大きな違いが出てくる。
しかし、機械打ちでもロールの締め方を調節し、圧力のかけ方を工夫すれば手打ちに近いものが
出来る。しかしながらこの場合は調節に時間がかかって手打ちで作ったほうがむしろ早く出来る。
村田
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