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男なら

2014.08.04NEW

設計スタッフの竹内です。

いきつけの床屋さんが内装の改装をしました。

創業明治36年 今年で110周年の歴史ある床屋さんです。

祖父の代からお世話になっている床屋さんで、私の息子もお世話になっており

4代に渡り髪をケアしていただいています。

今でも40年以上前、祖父と出かけた昔のお店が思い出されます。

お弟子さんが沢山いて、活気あふれる床屋さんのイメ-ジが焼き付いています。

現代のように散髪台に座ったままですべて終わる事はなく、洗髪専用流しに移動したりして、

座ったままではすまないのが普通の光景でした。

BGMはラジオ!夏は「高校野球」、日曜日の昼は「のど自慢」が流れていました。

大きなガス温水器、蒸しタオルのステンレスのケ-ス、裏庭の物干しに沢山のタオルが風になびく風景、

ギシギシ音をたてる建具のヒンジ、白衣を着てネクタイをしめた眼鏡の床屋さんのおじいさん、今でも鮮明

に覚えています。

カミソリも使い捨てのカミソリではなく、毎回皮の太いベルトで研いでいました。

子供の私の瞳にはシュシュとリズミカルにカミソリを研ぐ姿がとってもカッコよく映り、早く大人に

なってひげ剃りしてもらいたいと憧れていました。

二代目の店主が3階建ての店舗付き住宅に建て替えて、BGMが有線放送に変わり、そして今回

三代目の店主が、お店の内装をリフレッシュさせました。

BGMもおしゃれなボサノバに変わり、落ち着いた空間になりました。

残念ながら設計は当事務所ではありませんが・・・・

「私に依頼してくれればもっとよくできたのに」と思いながら新しくなった散髪台に座っています。

床屋さんに髪をケアしてもらう男性が減って、店主も理髪業に付加価値をつけようと色々考えているようです。

店舗サインも一新され屋号の肩に+Rが付き、リラクゼ-ションの提供も始めました。

理容師を目指す若者も年々減ってきていて後継者問題がここにもあります。

建築の世界でも職人さんの減少はとても大きな問題です。

長い目で後継者を育てないと、どんな職種でも絶滅の危機から逃れることは出来ないでしょう。

通勤途中の小さな床屋さんの入り口に、大きく手書きの看板で

「男なら 床屋 だろ!」

と掲げられているのを見て、いつも心の中で拍手している私です。

仰向けの洗髪なんて、小っ恥ずかしくてやってられないぜ!

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