2014.05.19NEW
前回もそうですが、ここに紹介するのは足利一茶庵系の店で今まで行われてきた製粉方法です。
製粉にかかる前にまず下ごしらえとして「乾燥」をします。
これは貯蔵してあった玄そばをよく天日にあて、水分を充分に取り除き、次に粉に泥が混じったり
へたの屑が入らないように「角おし」をして不純物を取り除くのですが、これはそばの実が
三角形に近い扁平な形をしていて、へたはその一つの角についており、崩れて粉に混じりやすいために
行う工程です。「角おし」を充分に行ってから「挽き抜き」といって外皮を取り除く作業を行います。
この時に出た粉が「花粉」といってそばを打つ時に花のようにパッと振り、打ち粉として使用します。
外皮だけきれいに取れたものが「丸ぬき」で基本的にこれを挽いてそば粉が出来ます。
ちなみに「丸ぬき」は、そばめしを炊く場合にもそのまま使えます。
「挽き抜き」の時、「丸ぬき」の他残った粒の三角形が割れて出てくるものもあります。
「割れ」は、二つから三つ位に大きく割れたものです。そのうち「上割れ」といって、
完全に五つ位に割れて2.5mm位の粒になったもので、これは「挽き抜き」をした分量の
3割位にあたります。「丸ぬき」「割れ」「上割れ」「小割れ」のうち、「上割れ」だけを別にとって
製粉したものが「さらしな粉」です。「上割れ」を除いたすべてが並みのそば粉の材料になります。
「上割れ」以外のものを最初に軽く挽いたものが「一番粉」といって、これは少し星がありますが
うまみがあり香りもよくとくに甘みのあるそばが出来るのですが、粘りが少ないためそば切りが作りにくく
高度の技術を要します。「二番粉」以下がいわゆる「香りの田舎そば」といって香りと歯ごたえと
そば独自のあくのあるうまみを売り物にしている並みそばの材料であります。
「一番粉」「二番粉」をこの様に分けて考えると、のび・味の点で明らかに違いがあります。
色の濃いそばがそば粉を多く使ったそば切りという観念が一般的ですが、そば粉の上等の
「さらしな」になると全く星がなくあくまでも白い。「白も黒もそば」といってそれぞれに
食べ分けられるのがそばの食べ方の楽しみの一つではないでしょうか。
村田
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