2013.09.11NEW
久しぶりに大学で一緒に建築を学び卒業後一時期大阪の会社で一緒に仕事をした友人に会う。
彼の家は私の下宿と近い関係上、よく彼の家を訪ねることもあった。
玄関を入ると、確か左側に2階に行く階段があり、階段の左側には親父さんの書籍が山積みにされ、
足場もないほど。
後に知った事だが、親父さんはフランス文学者、人間研究科(フランスではモラリストとの事)
として有名な河盛好蔵氏である。
文化勲章も叙勲し、確か平成9年に95歳で母校京都大学から文学博士号を授与された方で、
当時博士号授与のお祝いの電話をしたら、友人がこの様な話を私にした事を覚えている。
新聞記者がインタビューに訪れ 「学位を取られるきっかけはなんですか?」 と尋ねたら、
親父はこんな風に答えていたよ。 「早く学位を取らなくては年を取ってしまうからな!」 と。
江戸後期の儒学者、佐藤一斎の 「老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」 の言葉もある。
その様な河盛好蔵氏のエッセイに 「人とつき合う法」 の著書があり、
「人間同士の付き合いは、たとえ、どんな遠慮のない仲であっても、常に一種の演技がある。」
と語っており、若き頃 「友になろう」 「友をつくろう」 を心掛けてきた私にはこの本は
一読するに値する本と思い出しては時々読んでいるが、このような本は今の若い人には好い本と思う。
特に目次の 「時間を守る」 の中で 「他人の時間を大切にする」 の項は価値観が
多様化している現在将に一番必要な事とも思う。
又河盛氏は若い人への言葉に 「若い時に旅をせねば、老いての物語がない」 と語っているし
仕事に対する心構えとしては 「仕事をしすぎないこと、人生を楽しむこと」 と語っていますが
今もって仕事の虫で仕事しか出来ない私にとってはいささか頭の痛い言葉でもある。
2013.9.11 竹 下 繁
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