2013.09.02NEW
前回 "江戸そば御三家" について書かせていただきました。
"江戸そば" でもなく "地方独自のそば" 例えば長野の戸隠しそば、山形の板そば、出雲そば等でもなく
独自の "こだわりの手打そば" を求めつづけた人がいます。
一茶庵の創始者、片倉康雄という人物。埼玉県北部の現在の加須市の生まれで、幼い頃より母の打つ
大変おいしい "毛のように細いそば" を食べてきました。その味わいを自分の手で実現させたくて
大正15年に東京新宿に "一茶庵" を開業します。誰に学ぶ事もなくただ自分の舌に残っている
母の打つ "毛のように細いそば" を思い出しながらの出発だったそうです。
そして、昭和8年に大森に新しい店を開いた頃には 『東京大森に一茶庵有り』 と言われるほどの
話題の店になりますが、太平洋戦争により店を失いやむなく廃業しています。
戦後世の中が落ち着いてくると、多くのファンが一茶庵のそばが食べたいとの声に応える様に
昭和29年に栃木県足利市に "足利一茶庵" を開業します。
"足利一茶庵" のおいしいそばは口コミで広まり、食べに来る人ばかりでなく一茶庵のそば打ちを学びたい
という人も多く、たくさんのそば打ち職人が次から次へと一茶庵の門をたたき修行して日本のあちこちに
一茶庵の手打ちそばが広まっていきます。
美々卯、家族亭、飯田の丸富、静岡の八兵衛、山梨のおきな 等々、一茶庵で修行したそば屋が
全国各地に広がり、又その店で修業したそば屋がさらに広まり、新しく "一茶庵流の手打ちそば" の
大きな流れが確立し、現在に至っています。
宣伝する訳ではありませんが、静岡、藤枝の八兵衛両店とも味はもちろんですが店の雰囲気も
それらしい雰囲気があります。話のタネに行かれてはいかがかと思います。
村 田
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