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「 就職戦線と友人 」

2013.04.22NEW

                                   ~20数年ほどの昔の記録集から~

 

 

人生には3つの重要な通過点があり、その2つ目が青春時代に迎える “ 就職 ” である。

 

先日 “ 就職活動の解禁時期を大学3年生の3月から実施 ” との記事をみて、20数年ほど昔の事を思い出す。

 

最近でも女子の就職は厳しいが、バブル崩壊後の遠い昔、採用中止やリストラで揺れる中、友人Tより

 

娘さんが入りたい会社の 「 コネ 」 を頼まれた。あそこに入るのなら私に頼むのが良いと聞いたらしいが・・・

 

その会社は業界でも日本で5本の指に入る大企業で、私ごときなどを相手にしてくれない会社だが、

 

そこには若い頃からの友人がいる。

 

学生時代にはお互いの人生観も語り合い、又子供のよきお説教役をしてくれる友人である。

 

彼とはいつも電話だけで難しいことも話し合える間柄だが、その時は会って就職の話しをすると、

 

即答で 「 “ 来年は女子社員の採用はしない ” と社内報が廻ったばかりなので今回は無理 」 と言う。

 

そこを何とか…と頼み込み数ヵ月後、「 多分なんとかなりそうだろうが・・・ 」 の返事とともに 「 ただ、

 

女子社員は採用しないことになっているのでそれだけは酌んで欲しい 」 と意味深長な言葉。

 

友人Tにはだいぶ感謝されるが何の案内も来ないまま入社式3日前に 「 入社式の案内は出せない 」 との連絡が入る。 

 

「 今頃になってダメなのか?!」 と尋ねると、「 女子社員は採用しないことになっているのに女子社員が

 

入社式にいるのはおかしいよ 」 と言われ、“ 酌んでくれ ” の意味を知る。

 

娘さんは支店等から転勤してきた事にするとの話。間違いなく本社の正社員となっていた。

 

その後も彼には度々就職のお願いをしたが、私自身も今までに友人に何が出来たかと自問する。

 

 

・・・その昔、コネも推薦状も持たず作品を背負い坂倉準三建築研究所の門を叩き入門した若き日を思い出す。

 

現在の仕事の支えとなっているのは、当時お世話になった事務所での 「 学 」 が基にある。

 

そう思うと、就職先がいかにその人の人生に大きな影響を与えるのかを痛感する。

 

弊社では、在学中に職業体験をする“インターシップ”を取り入れているが、これから日本を背負う

 

若者たちにとって人生のよきアドバイザーにもならなくてはとも思いながら ・・・

 

 

後の友人からの話では、その年、女子社員は2名採用、1名はどうも社長が頼まれたらしいとの事。

  

                                                         おわり

 

                                                       竹下 繁

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