2012.12.17NEW
又一年の締めくくりの季節がやって来る。そろそろ片付けるか!と、倉庫の中を見渡すと天井には何年前か忘れたが台は桐、足は朴歯の高足下駄が吊るしてある。
昔、松菱百貨店の一階にある下駄屋で買ったもの。最近はご無沙汰であるがなつかしい。
履いてみると、目線が今迄よりも10㎝程高く何となく世の中が広く優越感を感じる。懐かしいものである。そういえば昔は下駄を履いてよく遊び又通学したもので中学生の頃の写真を見ると大方は運動靴であるが下駄もある。
高校生時代には高足下駄を履き腰に手拭いをぶら下げ自転車にまたがり通学した一時期がある。二つの朴歯に挟んだペダルを廻して通学したもので学校に着いたときには片歯を何処かに落とし、探しに戻り学校に着いたときには遅刻する始末。
下駄の好きな私が大学に入学した頃、大学には急いで行けば10分もかからない下宿先から別に靴が無かった訳でも無く、高校時代の野暮なスタイルそのままで腰に手拭いをぶら下げ下駄を履いて通学していた一時期もある。早稲田大学には当時そういう学生もいたと思う・・・・
我々建築学科の校舎は2階建木造校舎、床も全て板張り、歩くとガラガラ、ゴロゴロ、快適な音?何科の教授か知らないが廊下に出てきて「うるさい!下駄で登校するな!!」と怒る。下駄は禁止という校則もなく、又建築科の教授に怒られたならば仕方が無いが関係のない学科の教授なので・・・・・であったが友達から「下駄は良くないよ」と諭され残念ながらそれ以来下駄はあきらめたが、当時の同級生に会うと「竹下は下駄を履いて登校していた」とそんな話も出るほど下駄好きな時期が有った。
数年前であるが孫が4才頃私の下駄に小さな足を乗せ転びそうな歩き方で楽しそうに遊んでいたが危ないからと残念ながら私は取り上げてしまう。
今では下駄を履いていく場所、機会もなく何時履くのかなと思うが、もう一度下駄を履いて町に出かける程の自信と勇気も無い。下駄を好んで履いた事の無い人には分かりにくいが普段履く下駄の文化は何処へ行ったのかな?・・・・・無理難題なお話。
竹 下 繁
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